森ガール森由美子の日記

アクティブライフの森ガールです。よろしくね。

キツネとウサギ

6日未明に発生した北海道地震で被災された皆様に 
心よりお見舞い申し上げます。


マーシャのおとぎ話(5)キツネとウサギ

Машины сказки - Лиса и заяц (Серия 3)


昔々、ある森の中に、キツネの姐さんと灰色ウサギが住んでいました。彼らは自宅を手に入れ、そこで快適に暮らすことにします。森のコテージをウサギは皮付き丸太で、そしてキツネは氷で作りました。冬の間は良かったのですが、春にはキツネの氷のコテージが予想通りに溶けました。 キツネは隣人のウサギに一緒に暮らすように頼みます。


善良なウサギはこの赤茶色の女詐欺師を家に入れ、プレッツェル※1をご馳走し、彼女に個別の部屋を提供しました。キツネは1日、1週間と過ごす内に、家の主人のウサギは彼女にとって窮屈な存在になりました。ウサギのすべて、耳も、目も、特に小さな尻尾は彼女をイライラさせました。


ある日、キツネはウサギをコテージから追い払い、彼女自身が快適な生活を始めました。ウサギは悲しくなりましたが、何もできません。彼は偶然、森で犬と出会いました。 犬はウサギを哀れに思い、キツネを追い払う事を約束しました。しかし彼がコテージにやってくると、ずる賢いキツネは彼に屋根のある居心地の良い空間を提供しました。犬はコテージに住み着き、ウサギは再び路頭に迷います。


ここで、このお話は マルシャークの物語「テレモーク」※2に近づきます。


灰色オオカミ、牛、そして他のいろいろな動物がウサギを助ける事を順番に同意しました。しかしキツネは彼らすべてを家に住まわせました。ゾウでさえもこの小さなウサギのコテージに居場所を与えられました。彼女は窮屈なのでウサギを追い出した筈ではなかったでしょうか? 


そうしている間に、この偏屈な敗北者は、引き続き自分のサポーターを探し続けます。最後にクマがやって来ますが、クマもこのコテージが好きになりました。クマはこの「テレモーク~ちいさなおしろ」によじ入りますが、家は完全に壊れてしまいました。犠牲がなかったのはまだ良いことです。誰とでも友人になるのは決して良い事ではありません。



註※1プレッツェル:ドイツ発祥の焼き菓子。独特な結び目の形に作られている。小麦粉とイーストが原料。日本では形状は異なるがグリコのプリッツが有名。


註※2テレモーク:ロシアの児童文学者サムイル・マルシャークの童話作品。「テレモーク」とはロシア語で「小さな御殿」という意味。
-ネズミさんがお家に初めに棲みつき、カエル、ウサギ、キツネ、オオカミ、と沢山の動物を呼び込みます。そして最後に、クマさんが入ると、そのお家は壊れてしまいます。


これを翻訳し「テレモーク~ちいさいおしろ」として日本に紹介したのは岡山牛窓町の文芸学者、児童文学研究者、ロシア文学翻訳家・西郷竹彦氏です。東京帝国大学理学部応用物理学科に学び、従軍。敗戦時ソ連の捕虜となり、のちモスクワ東洋大学日本学部講師として日本文化・文学を教え、1949年帰国。ロシア児童文学の翻訳を多数行い、のち文学教育を中心として多数の翻訳、創作、論考、著書を著しました。


      


後記:サムイル・マルシャークのこの物語での「誰とでも(クマ如きと)友人になる必要はない」と言うメッセージは当時のソ連邦の国是であった「万国のプロレタリア、団結せよ!」Пролетарии всех стран, соединяйтесь! と相容れません。また物語では、クマに「たもと」を許したがために家が潰れてしまいますが、クマと言えば当時のソ連邦あるいはロシアを思わせます。ソ連邦の周辺国あるいは構成国に対する警鐘メッセージであるかのようにも取れます。マルシャークは反体制作家とされていませんが、微妙です。まー西側でも有名なソ連時代の文化人はたいていそうですね。チェブラーシカ・シリーズ監督のロマン・カチャーノフに至っては作品は体制批判であると明言しています。


サムイル・マルシャークはロシア西部の工業都市ヴォロネジ生まれ。父は工場技術者。少年時代にサンクトペテルブルクへ移るが、ユダヤ系であるために迫害を受ける。詩才を認められ、文芸批評家スターソフの知遇を得、1907年から雑誌に詩を発表。ゴーリキーやシャリアピンの援助でロンドン大学に留学し、翻訳詩も多数紹介した。1920年、戦災孤児を励ますため、音楽家や画家や俳優と協力して、ロシア南部のクラスノダール市に「子どもの町」を設立。その町の子ども劇場のために児童劇を多数手がけた。1943年ソビエト児童劇の代表作「森は生きている」でスターリン賞を受賞。作品は説得力に富み、広く世界の子供たちに愛されています。



ソビエトアニメ 森は生きている(1956)日本語字幕



ブログ村に参加しています。
よかったらクリックして下さいね。

にほんブログ村 ファッションブログ 森ガール系へ
にほんブログ村